オフィスの清潔さと安全に特化した顕微鏡診療のお約束と証

【東京歯科医療安全・感染制御研究会】
医療の質は安全に比例いたします。

【東京歯科脳神経内分泌栄養咬合摂食嚥下口腔リハビリテーション研究会】

こんにちは歯科用顕微鏡@歯科衛生士naomiです 

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今日はあいにくの雨ですね。もうすぐ梅雨入りでしょうか...
さて、今週も雨に負けずに頑張って参りましょう 

私ごとですが、先日母が歯が痛いと言って当医院を受診しました
娘が歯科衛生士ではありますが、久しぶりの歯科受診

歯科衛生士で皆様の口腔衛生指導をしていますが、1番上手くいかないのは家族の指導でございますw
他人の専門家から言われる事には耳を傾けますが、家族がいくら専門職でもいう事をなかなか聞いてもらえないのが家族です。

まあそんなこんなで、7年ぶりの歯科受診。

残念ながら、根尖病巣が大きくなっており、治療は不可能ではありませんが、年齢や通院期間、歯の状況などを鑑みると、抜歯が良いのではないかという話になりました...

さて、母ももう70歳の高齢者。体の不調もありますし、薬も数種類飲んでいます。

薬を確認すると、なんと骨粗鬆症の治療をしていて、注射を始めていました
骨粗鬆症の治療を始める時に注意しないといけない事は、内服薬でも同様ですが、骨粗鬆症の薬を始めると、歯科的な外科処置が難しくなるという事顎骨壊死と言って顎の骨が壊死(骨の一部が死んでしまうこと)してしまう事があります

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年
編集:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会
(日本骨粗鬆症学会 日本骨代謝学会 骨粗鬆症財団) 委員長 折茂 肇

骨粗鬆症治療のための注射用ビスホスホネートでの発生リスクは経口製剤と同程度

経口ビスホスホネート服用者における発生頻度は0.85/10万人・年である。
また日本口腔外科学会全国調査(248 研修指定施設)では約0.01 ~ 0.02%とされている。

骨粗鬆症治療のために経口ビスホスホネート薬を服用 する予定の患者で, 歯科治療が適切に行われており, 口腔衛生状態が良好に保たれている場合は特に投与を延期する必要はなく, 定期観察を行うだけでよい。しかし, 投与中の抜歯や外科的処置を回避するために, 禁煙, アルコール摂取制限, ならびに口腔衛生状態を良好に維持することなどが重要であることを患者に指導する。もし, 抜歯などの外科的侵襲処置が必要である場合は, 外科的処置後の創傷治癒が完全に確認されるまで経口ビスホスホネート薬の投与開始は延期するのが望ましい。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー(改定追補2012年版)
監修:社団法人日本口腔外科学会 

注射用 BP 製剤を患者に投与する前に以下の事項を実施することが推奨されています 。
歯科検診を受け、十分な検査をする事
外科的な歯科処置が必要と歯科専門医が判断する場合は、可能な限り注射用BP製剤による治療の開始前に完了し、歯周組織の状態を良好にしておくこと
全身状態が許せば、注射用BPが製剤による治療開始は、抜歯部位の粘膜形成が完了するか(14日〜21日)、骨が十分に治癒するまで延期する事。


骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016
作成 顎骨壊死検討委員会

III.骨吸収抑制薬の投与と歯科治療

1.骨吸収抑制薬の投与を受ける予定の患者の歯科治療 基本的に最も大切なことは、主治医である医師と歯科医師との緊密な連携である。骨吸収抑制薬治療を開始する前に主治医は主疾患の病状、治療方針、予後の見込み、ならびにONJ が発症した場合の対応について歯科医師と 十分に協議、検討しておく患者には骨吸収抑制薬治療のベネフィット(有益な効果)と ONJ 発生のリスクにつ いて説明し、ONJ の病状、経過、予後、および処置などについて正確な情報を提供しておく。また骨吸収抑制薬 投与前に主治医が患者に歯科受診により口腔内衛生状態を改善するように依頼し、ONJ 発生の減少に努める。全ての歯科治療は骨吸収抑制薬治療開始の 2 週間前までに終えておくことが望ましい。しかしがん患者で骨吸収抑制 薬治療を遅らせることができない場合や、骨折リスクが高い骨粗鬆症患者では骨吸収抑制薬治療と歯科治療とを並 行して進めることもやむを得ない。骨吸収抑制薬治療中は歯科医師による定期的な口腔内診査を患者に対して推奨 し、歯科医師は口腔内診査の結果を主治医に連絡する。また主治医も問診などにより患者の口腔内の状態に留意する。

私は医者ではありませんが、母が急を要する骨粗鬆症患者にはとても見えません。
もし急を要するにしても、1日歯科を受診し、歯科的問題がないかどうかを検査してもらう時間ぐらいはあった患者だと思います。


ガイドラインやポジションペーパーにあるように、骨粗鬆症の薬の投与前には、投与した後暫く歯科的問題な問題が起きないように、今現在問題がないかどうか専門家の目で必ず確認しておく事が必要なのです。

母に聞いたところ、主治医には「今、歯医者さんにかかっていますか?歯が痛いところはありますか?」とは聞かれたけど...との事。

所詮患者さんは素人ですから、その意味を本当に理解しているとは限りません。
本人は、聞かれた時は歯は痛くなかったとの事なのです。

例えば、歯周病はサイレントディジーズ(沈黙の病気)と言われており、進行していても症状が出ない事があります。急に歯茎が腫れる事があります。
また神経を取っている歯も、根の先に膿の袋がある事があり、慢性化している時は痛みが出ない事があります。

口頭の本人への質問だけでなく、事前に歯科を受診するように促して欲しかった

昨今、医科で口腔ケアが保険点数に収載されて、医科でも口腔ケアと行って注目を浴びています。しかしながら、こう見ると本当は口腔になんて興味はなくって、点数に入っているから型通りやっている、マニュアル通りにしか理解できないという事なのでしょうね。

そりゃあそうです。所詮餅屋は餅屋です。

今後、骨粗鬆症の投薬の前には歯科の検診結果が必ず必須と思ってもらえるように働きかけていきたいと思います。

ああ、これからが心配です。

主治医が最初から歯科受診について、きちんと理解していたらこんな苦労はしなかったのに...

悔やまれます。
 
歯科職としてまだまだですね。
今後、母のような患者が出ないように、骨粗鬆症投薬前の歯科受診の徹底を周知していきたいと思います。