オフィスの清潔さと安全に特化した顕微鏡診療のお約束と証

【東京歯科医療安全・感染制御研究会】
医療の質は安全に比例いたします。

【東京歯科脳神経内分泌栄養咬合摂食嚥下口腔リハビリテーション研究会】
歯科用顕微鏡@歯科衛生士naomiです 
初めてブログにお越しの方はこちらをご覧下さい。→歯科疾患の予防の重要性(ブログはおちゃめ(*゚∀゚)ですがHPは真面目です(`・д・´)

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今日もせっせとメインテナンス中でーすあ、いつもと同じ写真か(笑)

先日久しぶりに書きましたけど大学卒業した4月から、診療日が2倍近くに増えまして...
とにかく余計な事をする余裕な時間がないのです...

メインテナンスの患者だから余裕かと思ったら大間違いで、リスクが少ない患者さんだからこそ、集中してみないと見逃す事も多いのです。だから反対に時間がかかったりします。

さて、メインテナンスの患者様です。6ヶ月に1度ぐらい来てたかな。
最初の頃はメインテナンスに来たり来なかったりだったのですけれど、最近は毎回次回の予約を受付でとってくださいます

こんな隙間の異常にも気がつかないといけないのです、しかも風をかけてうっすら黒いという代物を...右上4番近心。
 
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見るからに覗きたくないでしょ。。。だって、ポケット幅どのくらいだと思いますか?

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歯石の全体像はこんな感じ必ず可能なら歯石の底部を確認します。↓

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まずは、鎌形スケーラーで除去してみようかな

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ハンドスケーラー、超音波スケーラー、互いに短所、長所がありますけど、必ずしもパワーの強い超音波スケーラーの方が除去効果が高いと思ったら大間違いです。結構歯医者さんでも歯石除去と言えば、キーンみたいな歯医者さんもありますよね私はあんまり好きじゃないんですけど。。。

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ポロリほんの一部ですが除去できました1目盛1mm
でもね、これはほんの一欠片。もっと見て

歯石の底部が完全に見えていてポケット幅がある程度あって、根面とスケーラーの角度が理想的な角度になるのであれば第一選択はハンドスケーラーです
なぜなら、歯石は縁下と言えどもはじいて除去するものだからです

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 ↑でもこんな境界が不明瞭だったり、ポケット幅が狭くて、両刃の鎌形スケーラーを挿入して反対側の歯肉内面を傷つけるようなら、超音波スケーラーを選択します

でもね、超音波スケーラーだからと言って簡単に除去できるわけではなく、根面なので、パワーをあげれば痛みが出るし弱すぎると歯石が粉砕できない。ましてや先端が丸いチップは削るパワーが弱い

そして、超音波スケーラーでも、歯肉は焼けます。つまり根面に対して斜めにチップを挿入して、歯肉を圧排しながらというのは無理。触れてるだけでも焼けて来ますから、確実に排除しないといけません 

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今日はちょっと焦点があってないけど...こんなもんで
ポケット幅2mmの処置でした

でも、これ、写真がはっきりしていないから説明しづらいのですけど、根面にほんのちょっと窪みがあるのです。。。安全ピンの先でしか触れないような窪みが

そんなところ歯石はなんとか取れても、滑沢になんかできないっつーの
そんなケースは山ほどあるのです。

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つまり皆さんが思っているよりも、根面というのは複雑な形態をしていて、そんな根面をストレートのチップで盲目的に歯石除去を行っている事自体、根面を滑沢にしているのではなく、今回の症例のように、うっすらとした歯石の壁を作っているにしか過ぎないのです

つまり、歯石の除去はほとんどできていないと思っていい
歯石が完全に除去できていないのだから、組織の再生は起こらないと私は思う。

根面の無菌化?無理無理。お口の中で出血すごいし、歯肉溝浸出液が溢れてくるし、隔離できないもの。

私がいつも目指しているものは、運よく組織や骨の再生が起これば良いけど、それよりも歯石をできるだけ除去する、そこに焦点を当てています

これは数日前の症例ですけど、今日も同じような症例をみています...また後日UPするとします

私たち歯科衛生士の役割は、歯石を完全に除去する事ではなく、メインテナンスの時間は健康教育の時間、モチベーションを上げるための時間と考えた方が良さそうです。いえそう考えるべきです。

なぜなら、直視できても、歯石は確実に除去できないのだから