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歯科用顕微鏡@歯科衛生士naomiです 初めてブログにお越しの方はこちらをご覧下さい。→歯科疾患の予防の重要性(ブログはおちゃめ(*゚∀゚)ですがHPは真面目です(`・д・´)

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前回(歯石除去におけるスケーラーを考察する前編)の続きですいつもこんな感じでスケーリングしています

scaling

今回マグネット式スケーラーを選んだ理由は...

歯科用顕微鏡を使ったスケーリングはポケットを覗ける範囲に制限がある。特に直視する場合、器具が入る方向はかなりな制限を受ける

そこで理論からすれば、ピエゾ式のスケーラーは使い難い。なぜかと言えばピエゾ式は直線的な動き、つまり前後の動きなので根面に当てる角度が制限される。特に平面なチップは制限される。根面に水平に当てる事が要求されるからである。

以下はメジャーなピエゾ式の某メーカーのtip。縁下用はtipの長さが長いけれど、tipが平面...平面という事は根面に当てる角度の制限が大きい
mag
理論だけの話をすればマグネット方式は角度を選ばずに挿入できるという事になる。でも大切なのは、挿入できる事だけじゃなくて、ポケット内の歯石を除去できるか?という最終目標が達成できるかという事である。

日本でピエゾ式がもてはやされるのは根管治療にも使えるシリーズが多いからではないだろうか。医院の出資者は歯科医師であり、コストダウンをはかるとすれば、根管治療にも使えてスケーリングに使えるという一石二鳥さは非常に魅力的である。

つまり日本で売れる=流行しているってことでは?でもそこには施術に対して良いか悪いかの判断はない。安いか高いか、効率的かなど費用対効果の問題である。

私が思うに(スケーリングに言及するが)今まで縁下に入るパワーの強い細いtipがピエゾ式にしかなかったからピエゾがもてはやされたのではないかと思う。まあもともと日本ではマグネット式のシェアは少なく出回らないので使い慣れない。慣れないから使いづらい。

ピエゾ式のtipの売りはプローブと同じ形態、細さ。つまりプロービングをするように挿入でき歯石が取れるというのがうたい文句である。

ここまでなら、ピエゾに分が有るあるように思う。

ところが、医療は日進月歩。医療機器も勿論進歩している。

2009年頃からマグネット式スケーラーにもハイパワーで使用できる、細いチップが出回り出したのである。
thin tip

さあ、どうよ。って話だ。

2009年DENTSPLYがCavitronの新しいチップTHINsert (Figure 3)を発表。2011年1月にはHu-FriedyがSwivel XT(Figure 1)を、2月にはDENTSPLY がSlimLineの1000 (Figure 2)を発表。期を同じくしてParkell offersもBurnett Power Tip (Figure 4)を発表した。

前回も書きましたが、「以前はマグネットが主流だったけど、今はピエゾが主流です。」って発言は医療の日進月歩の意味でもナンセンス。判断基準は世の中の流行じゃなくて自分がその特性をきちんと理解して選ぶかにつきる。

自分の基準値で選択していれば、流行に流される事はない。最終的な目的は患者に負担を与える事なく確実に容易に歯石を除去する事なのだから。

本質が大事。

ただ細いtipにも問題があるように最近は感じている。

盲目的なスケーリングにおいては、細いチップが良いとされるのだと思う。盲目的作業は見えないのだからハンドスケーリングより超音波の方がましという理由で使われる。

顕微鏡の場合には見えるから...

マグネット式の細いチップで今問題だなと感じているのが、注意しないと歯石が取り残るなぁ...という事。それはその特性である楕円の動きにあるのではないかと今の段階では考えている。まあ動きだけでなくtipの「形状」の問題もあるのだけれど...

図説するとわかりやすいが図説は面倒なので、機会があればまた

更に2010年の面白いペーパーを見つけたので追記します。

Patients' perception of pain during ultrasonic debridement: a comparison between piezoelectric and magnetostrictive scalers. Muhney KA, Dechow PC.
J Dent Hyg. 2010 Fall;84(4):185-9. Epub 2010 Nov 1.


この研究はピエゾ式とマグネット式のデブライドメント時における不快感、バイブレーション(振動)、ノイズ(音)を比較したもの。

結果はマグネット式の方が不快感と振動がやや多く、
 
Mean scores for patient discomfort and vibration were greater for the magnetostrictive device at p=0.007 and p=0.032, respectively. The scores for noise level between the 2 ultrasonic types were almost equal.

結論としてこの研究の患者はピエゾ式を好むとしている。

The results show that, on average, patients in this study prefer instrumentation with the piezoelectric as it relates to awareness of associated discomfort and vibration. The results of this study may assist the clinician in the decision over which ultrasonic device may prove more beneficial in decreasing patient discomfort and increasing patient compliance.

なかなか興味深いよね〜

後ね、こんなのもあります。

movemnt

これ、某ピエゾ式スケーラーのweb siteから拝借しました

これ、何が言いたいか?ってわかります?この図の意図、マグネット式はだめだって言ってるんですよ(笑)エグいよね...まあ、先ほどのペーパーで裏付けされたからこういうのもありかなぁとも思うけどさ。

あくまで持論なので聞き飛ばしてもらえればと思うけどマグネット式かピエゾ式かって、実はヨーロッパとアメリカの闘いじゃないかって思いません?(笑)マグネット式はアメリカで50年以上のシェアがあって、ヨーロッパではピエゾ式のこのメーカーがすごい力があるんです。

今までに書いたように、それぞれに特徴があって、チップの形状だってそれぞれの製品でオリジナルなのだから、それを評価すべきであって潰し合うのもいかがなものかと...ねぇ...だからこういう物の評価って難しいんですよね

すごく笑えるエピソードをご紹介しますね
私が早速メインテナンスの患者様にマグネット式のスケーラーを使用したら、処置終了後に患者様おっしゃいました。

「なんか歯石取る器械、いつもと変わりましたよね?」って。

よくおわかりになりましたね、どうしておわかりになられたのですか?ってお聞きしたら、

「いつもより音がしないから...キーンって音が。いつもより緊張しなかった

っておっしゃたのです。すごいタイムリーな話題ですね。笑えますお気づきですか?

先ほど紹介したペーパーではマグネット式の方が不快感と振動があって患者はピエゾを好むって結論だったんですよノイズは両者イコールだって。

よく考えましょう。ピエゾとマグネットを使用します。ピエゾ式の一番強いモードとマグネット式の一番弱いモード。どちらが患者に不快感があるんでしょうか?

はい!そこの貴方!答えてっ

だいたい、出力方法が違うのだから比較する方がおかしいと思うけどなぁ。

ペーパーなんてそんなもんです。ペーパーを参考にするのは大切だけど臨床家は目の前の患者を診るものです。条件づけられた数字に生きた人間を当てはめる事はできません目の前で起きている事象が私の中の真実です。

だってね、マグネット式だってピエゾ式だってそれぞれ各社から数多く出ているし、同じ製品でもグレードあるんですよ、そんなの全部数値化できます?だったら最高に良いペーパーが出る器具だけ売れって話になりません?そうはいきませんよね世の中資本主義で需要と供給でお金が経済が動くのですから

最終的には自分の感覚で勝負するのです。
だって私が患者様に施術をするんだもの。それが臨床家の責任でしょ

今回私がマグネット式のスケーラーを選んだのは、チップの形状と細さが魅力的であり特に叢生や下顎前歯部のスケーリングには、かなり重宝するのでそれで購入しました。当院のスケーラーはもともとピエゾ式でしたので今回の購入で両方が揃いました処置の幅が広がります。

ああ、なんかこんな事書くと、またピエゾ式がある所でスケーリングはした方が良いとか物の話になって本質が理解できない人がネット難民となってさまようのかもしれないけど...

皆、誰もがどのスケーラーが良いか?と人の意見を求めてくるけれど、最初に考えるべき事は「自分が何をしたいか?」だと思います。

とにかく歯石の除去は奥が深過ぎて本当に難しい。そしてこの難しさを患者さんに伝えるのもまた難しい。顕微鏡を使った事がない歯科医師や歯科衛生士に伝えるのも難儀ですけど...

さて。今月の歯科衛生士の定期健診の枠がもう残り数席となりました。ご予約有り難うございます。

皆様のお気持ちに答えられるよう今週も精進して参りたいと思います

あ〜なんかまとまらんかった...